ROCKS Jackets
[収録アルバム]

汚れたバスケットシューズ

詞:小山卓治 曲:小山卓治


朝から大阪へ向かうために
僕は新幹線に乗っているところ
外は雨で 夢をみてた
思い出すこともなかったあの頃
懐かしい友達の顔が笑ってる
僕もその中で笑ってる
時代はゴウゴウと過ぎ 何かがガラガラと崩れ
僕らは風の音に耳を澄ましてた

ケンジはいつもニコルソン気取り
マコトはギャランで3度目の免停
サチコの恋人はテニスのチャンピオン
そして僕はギターを抱いてた
世間のガードレールに並んで腰かけて
通り過ぎる日々をただぼんやりと眺めてた
僕らは偉大な例外になるつもりだったんだ
いつも汚れたバスケットシューズを履いて

抱きしめ合ったり殴り合ったり
熱くなったり冷めたりしながら
同じことに頭にきて 一緒に雨宿りした
2度とキャンパスに戻るつもりはなかった
カギだけ持っててドアのありかを知らず
問題は少ししかなく 答はひとつもなかった
恋をむさぼり 擦り傷程度の絶望にうなされ
そして夢、夢、夢、夢だけで生きてた

社会に放りだされるまでの執行猶予の毎日
でっかくて単純な野心とか未来とかにうつつを抜かして
季節が変わるたびにそのかけらを
ポトンポトンポトン 落っことしていた
見よう見まねじゃ大人になれなくて
こんな暮らしがいつまでも続くはずがないと
互いの笑顔の奥をのぞきこんだ
いつも汚れたバスケットシューズで走った

目が覚めると大阪の街だった
空は真っ青 僕はあくびをひとつ
何でこんな夢見ちゃったんだろうな
柄でもねえやと1人で笑う
あいつらと別れてからは勝ったり負けたりの毎日
あいつらも売ったり買ったりの毎日を送ってるようだ
今さら互いを思いやったりなんかしないけど
今も夢、夢、夢、夢を確かに信じてる

髪の毛だけはニコルソンのケンジ
マコトはでっかい会社をぶっ立てた
サチコは1人で花屋をやってる
そして僕は まあ相変わらずだ
振り返るには遠すぎる
懐かしむには早すぎる
哀しむには天気がよすぎる
いつも汚れたバスケットシューズを履いてた

 


(c)2003 Takuji Oyama / NAKAYOSHI GROUP