2004年7月〜12月

dear #13
 「ONEオープン記念 - OFF Special Night」に参加してくれた人たち、ネット中継を見てくれたひとたち、本当にありがとう。すごく楽しい夜になった。
 1部のカバー演奏の中では、ジュリーの〈時の過ぎゆくままに〉がなぜか好評だったらしい。2部ではファンの人たちからの質問に答える中で、ファンの人のウクレレ演奏が始まったりした。3部では、友人たちとのセッションで盛り上がった。エンディングのフレーズなどがみんなうろ覚えで、顔を見合わせながらドキドキの演奏だったりもした。
 1部で吉田拓郎さんの〈今日までそして明日から〉を歌う前に、「この歌は昔大好きだった栗田ひろみさん主演の映画で流れてたと思う」と話した。これがとんだ勘違いで、高橋洋子さん主演の「旅の重さ」が正解だった。なんでこんな勘違いしちゃったんだろう? もちろん高橋洋子さんも大好きなんだけどね。
 それにしても、「栗田ひろみ」って話した途端、会場中がやけに盛り上がったっけ。前回のグレン・グールドに関して何通か返事をもらったりもして、不思議なところに共通の話題を見つけて、何だか嬉しかったりする。
7/20
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卓治


dear #14
 森のイメージを頭に浮かべていた。その時ふと、子供の頃に大好きだった本のことを思い出し、書店に探しにいった。絶版になってるかもしれないと思っていたが、その本は児童文学のコーナーで見つかった。佐藤さとるの「だれも知らない小さな国」。絶版どころか、37刷までいっていた。子供の頃になくしてしまった宝物が見つかったような気分で、大切にページをめくった。ドキドキしながら物語を追っていた、あの時の気持ちがそのままに蘇った。
 物語は、1人の少年が山の中に分け入った時、3センチほどの小さな人が自分に向かって手を振っているのを見るところから始まる。やがて少年は大人になり、その小さな人、コロボックルと再会し……。興味があったら読んでみてね。
 この本は全6冊のシリーズになっていて、昔々心をときめかせた物語の続きを、今になって読むことができた。僕の新しい宝物だ。
8/4
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卓治


dear #15
 残念ながら、絵心はまったくない。だけど、自分の人生を表現する絵を1枚だけでいいから残したい、と考えたのが1982年の2月。僕はF10号のキャンバスを買った。そこに、「生活」という絵の具を用いて、「時間」という筆で、絵を描くことにした。
 それから22年間、僕はいまだに描き続けている。引っ越しをするたびに、必ず僕はこのキャンバスを部屋の片隅に置いた。真っ白だったキャンバスは、少しずつ少しずつ色をつけていった。窓から振りこんだ雨が不思議な模様を描いたりもした。絵は、いまだ未完成だ。
 絵のタイトルは、その時に応じて適当に変わっていく。「前進」だったり、「思慕」だったり。今は「発見」とでもしておこうか。
 僕が死んだ瞬間、この絵は「人生」というタイトルで完成する。
8/19
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卓治


dear #16
 横浜国際総合競技場でミスターチルドレンのライヴを見た。入場者数は6万人!
 ミスチルのサポートメンバーとしてギターを弾いている河口修二君は、以前僕のライヴでギターを弾いてくれたこともある友人で、彼に招待してもらった。だから何と前から20列目くらいで見ることができた(い〜だろ〜)。
 横浜の夜空に向かって放射される歌は、キラキラと輝き、ギラギラとうねり、最後に、鳥の羽根が舞い降りるように、フワリと僕の心の掌に乗った。
 最初にミスチルを聴いた時、そこに折れそうな「ピュア」を感じた。そして今、6万人を前にする彼らには、世界で一番美しいものと世界で一番醜いものを体験し、それを踏み越えてきた上での、タフな「ピュア」があった。
9/13
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卓治


dear #17
 先日、フラワーアレンジメントの先生と話す機会があった。ちょうど四種類の花があり、先生に「生けてごらんなさい」と言われ、柄にもなく真剣に生け花に初挑戦。
 クリーム色のスプレーバラ、細い茎に白い可憐な花のデンファレ、ピンクの小花のワックスフラワー、グリーンの実がついたヒペリカム。15センチほどの高さのコンポートという足つきの器にオアシス(吸水性スポンジ)。
 バラやデンファレを主役にしたくて前に生け、周りをグリーンで囲んでみよう。茎を切るのに躊躇して、上からザクザク刺していった。自分ではそこそこうまく生けることができたつもりだったし、先生も笑顔でそこそこ誉めてはくれたんだが。
 その後、先生がやり直してくれたところ、茎を大胆に切り、デンファレを高く生けて風に揺れるようにした、かわいらしいブーケが完成した。あれ、まるっきり違うじゃん。
 先生曰く、花の高さは器に対して1.5倍くらいにして、風の通り道を作り、奥行きを感じさせるように、何より花それぞれの特性を知らなければいけないということ。
 生け花は、花を生かすって書くんだってことに改めて気づいた。発見の日々だなあ。
9/27
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卓治


dear #18
 「いつか小山君と一緒に〈YELLOW WASP〉やりたいな」
 白浜久さんがそう言ってくれたのは、もう3年も前の2001年9月、横浜での僕のライヴに白浜さんがゲスト出演した日の、打ち上げでのことだった。これがひとつの点。
 今年の8月、田中一郎さんのライヴにゲスト出演した時に白浜さんもゲストで出ていて、その打ち上げの席で白浜さんが「今度ソロライヴやるんだけど、出てくんないかな」と言ってくれた。これがもうひとつの点。ふたつの点がつながり、〈YELLOW WASP〉の共演が実現することになった。
 点と点が結ばれると距離と空間が生まれる。それが人と人だったら熱が生まれる。
 幸運な出会いなんて滅多にあるものじゃない。ほとんどの場合、人は人とすれ違う。あるいはぶつかる。握手に至るのは何万分の一の確立だろう。
 だが僕はその握手を、いや、固い握手を交わせる人と出会うために、今日も出かけることにしよう。徒労に終わろうとも明日も。
10/8
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卓治


dear #19
 デジカメを買った。「ONE - Oyama Takuji Network Eyes」プレサイトで来月からスタートする予定のダイアリー「Naked Voice」のためだ。ここでは日記というより、僕が日々感じたことや詩の断片を、写真と共に掲載していくつもりだ。
 以前にもデジカメを使っていたんだが、その画素数は今や携帯のカメラに負けている。すごい進化のスピードだ。
 今回購入したのはCanonのIXYという機種だ。IXYがまだフィルムを使ったコンパクトカメラだった時から、ずっとそのフォルムに惚れていた。だから今回は、店頭に並ぶすごい種類のデジカメを前に、IXYしか目に入らなかった。
 翌日から、出かける時は必ずポケットにデジカメを入れている。ひさしぶりにカメラを持つと、風景を見る視点がまったく変わってしまう。フォルム、光、影、構図などが、面白い被写体を前に頭に浮かぶ。
 とはいえ僕はプロじゃないから、新しいおもちゃを手に入れたような気分だ。これからは急ぎ足ではなく、少し寄り道しながら歩いてみることにしよう。
10/21
love,
卓治


dear #20
 「Naked Voice」が始まって、まだ5日。どんな方向でどのくらいのペースで書き進めるか、まだ手探りしてる。
 昨日、仕事から戻ってビールのプルトップを抜き、書き込みのフォームに向かった時、ふとデジャビュを感じた。昔、これと同じようなことをやったことがある。
 そう、あれは「微熱夜 '87」だった。1ヶ月間、ノートとペンを持って出歩き、あらゆる場所でペンを走らせた。何でもかんでも書きなぐった。ストリート、困惑、デート、怒り、ライヴ、瞑想、ホテル、酩酊、音楽、別れ、レコーディング、思い出、撮影、決心、またストリート。
 初めてのエッセイとして完成した本は、まさにその1ヶ月間の微熱が克明に記されたものになった。そうか、あの感覚で書いていけばいいんだな。
 「Naked Voice」はスタートしたばかり。どこまで赤裸々になれるか、どんな一線を越えられるか、そしてそこから何が生まれるのか。だんだん楽しくなってきたぞ!
11/5
love,
卓治


dear #21
 「ONE - Oyama Takuji Network Eyes」のサイト作りに、この1ヶ月ほどかかりっきりになっていたが、ようやくゴールが見えてきた。いや、もちろんこれはゴールじゃなく、大きなスタートの一歩だ。
 ここしばらく、ニュースさえ見てないような毎日だった。ひさしぶりにテレビの番組表を見たら、NHKの夜中に、サンダーバードの再放送があると書いてあった。昔、大好きでいつも見ていた。全部のプラモデルを作ったくらいだ。
 プラモデルを作るのはほんとに好きだった。サンダーバードだけじゃなくて、自動車や飛行機、アニメのキャラクター、戦車や戦闘飛行機や戦艦。おこづかいを貯めて買った戦艦大和を完成させた時は、すごく嬉しかったな。
 そう書きながら、ふと思った。僕の親父は戦争に行った。僕がアメリカ軍やドイツ軍の兵器のプラモデルを作っているのを、いったいどんな風に感じていたんだろう。
11/22
love,
卓治


dear #22
 12/18のイベントのミーティングのため、昨日中野でSMILEYと会った。このミーティングは毎年恒例で、スタッフの間では「中野サミット」と呼ばれて恐れられている。
 始めの方こそ、ちゃんとステージの構成や選曲などを話し合っているんだが、ほぼやることが決まってしまうと、そこからは毎年どんちゃん騒ぎ。もう誰にもSMILEYを止められない。昨日も案の定で、記憶がない。
 二日酔いで目を覚まし、ミーティングの間にメモしておいたものを改めて読んでみて、ようやく何をやるのか思い出した。
 前回のイベントとは趣を変えて、18日は普段あまりやらないような歌を歌おうと思う。SMILEYとも、一緒にやったことのない歌をやってみようと話した。
 それに加え、リクエストにも答えていくつもりだ。まだまだ募集してるから、どんどんメールを送ってほしい。
12/7
love,
卓治


dear #23
 いよいよONEがオープンした。すでにたくさんの人が登録してくれて、新しいファンサイトを楽しんでくれている。心から嬉しい。そして、もっともっとたくさんの人に、僕とスタッフが作り上げた希望の結晶を体験して欲しいと思っている。
 「ONEスタート記念 Special One Night」も無事に終了。ネット中継も成功だったようだ。
 「ジャンプするためには、一度かがまなきゃいけない」って歌ってたのは誰だっけ。今年はまさにそんな1年だったな。
 1日中パソコンとにらめっこする毎日だったのが、余裕もでき、体の奥の方からサウンドやビートが鳴り響き始めた。形にならない「歌」が、“早く、こっから出せ!”と騒ぎだしている。“まあ待ちなよ。おまえがそこにいるのは分かってるんだから”と、僕は答える。今日、ギブソンDOVEの弦を張り替えた。ここから歌が生まれる。
 これが今年最後の「dear」になると思う。Merry Christmas! そして素敵な新年を!
12/24
love,
卓治


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