dear #104
梅雨空が続き、ギターの音も湿っぽい。早く終わらないかな。いや、夏が来たら、それはそれで暑いのは苦手なんだけど。
今月もたくさんのライヴが控えている。
“晴れたら空に豆まいて”で、僕がホスト役をつとめるイベント〈Beast meets Beauty (野獣が美女に出会うライヴ)〉の今回の歌姫は、矢野絢子さん。彼女は高知を拠点に歌い続けている。その歌声は力強く、切ない。
このイベントでは、それぞれのステージで、お互いの歌をカバーする。僕が歌う矢野さんの歌、矢野さんが歌う僕の歌を、ぜひ楽しんでほしい。
矢野さんの〈ニーナ〉という曲がある。初めて聴いた時、鳥肌がたった。ライヴでは、彼女と、バイオリンの嶋崎史香さんと一緒に、この歌をやることになった。
福岡は、地元で活動しているコーガンズとのライヴだ。ボーカルのジンロウとは前からの知り合いで、彼と話す中で今回の企画が実現した。彼らともセッションすることにしている。
彼らは仕事をしながらの音楽活動だから、アマチュアということになるけど、その音楽性はプロの域に達している。そもそも今時、アマチュアとプロの線引きなんて意味をなさない。
僕も全力で歌う。
そして僕の地元、熊本では、パーソナルバンドAloma Black'sとサックスのSMILEYとのバンドライヴだ。
去年は2度、熊本でライヴをやることができた。僕の古い友人のバンド、いわゆるオヤジバンドとの共演もあった。
自分のバンドを連れていってライヴをやるのは、デビューの年以来だ。熊本城の二の丸公園というところでのイベントに出演した。
SMILEYが在籍したThe Conxと一緒にステージに立ち、最後にやった〈NO GOOD!〉では、僕とSMILEYでステージを飛び降り、客席の中を走り回ったっけ。懐かしい思い出だ。
今回は、今のベストの形でライヴをやることができる。たくさんの人に楽しんでほしいな。
7月は、まだまだライヴが続く、岐阜、名古屋、大阪。みんなと会える日が待ち遠しいよ。
7/1
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卓治
dear #105
関東はようやく梅雨明け。外はうだるような暑さだ。
福岡と熊本のライヴは大成功だった。ここのところ、1本1本のライヴに確かな手応えがある。
福岡のコーガンズとは、アンコールセッションで僕の曲を2曲、彼らの曲を1曲、そしてRCサクセションの〈トランジスタラジオ〉もプレイして、すごい盛り上がりだった。
ライヴの後は、そのままSPIRAL FACTORYでファンの人も交えて打ち上げ。シメはひさびさの博多ラーメン。2回替え玉しちゃった。
翌日の熊本は、地元ということもあってちょっと緊張したけど、みんなすごく楽しんでくれた。
Aloma Black'sのドラムJACKは、生まれは熊本で、彼への声援も大きかった。
打ち上げは、僕の古い友人たちも交えて総勢20人くらいで、朝まで3軒はしごして大騒ぎ。いやはや。
それぞれの映像をYouTubeにアップしている。「小山卓治 傷だらけの天使」「小山卓治 Hustler」で検索すればヒットするから見てね。
来週の岐阜、名古屋、大阪へ向けてのリハーサルが再開。
岐阜でライヴをやるのは初めてだ。最近、岐阜の人が何人か僕のオフィシャルファンコミュニティーONEに入ってくれて、それがきっかけで行くことにした。初めての街、初めての会場。新しい出会いがあるかな。
そういえば、岐阜の郷土料理で、“鶏ちゃん”っていうのがあるんだって。ネットで調べてみたけど、うまそうだなあ。時間があったら食べにいこう。
名古屋と大阪は、去年、結成したばかりのAloma Black'sとバンドライヴをやった。今年はAloma Black'sにサックスのSMILEYを加えたベストメンバーで行けることになった。
Aloma Black'sは、去年とは見違えるようなバンドになった。僕が今考える、一番理想のサウンドが生まれている。
今まで一緒にやった、The Conx、DAD、BACCHUS、その全部のサウンドを継承し、そこに27歳のパワーがミックスされている。
僕らのベストパフォーマンスを、ぜひ楽しんでほしいな。
7/15
love,
卓治
dear #106
岐阜、名古屋、大阪のライヴも、すごい盛り上がったよ。
初めて訪れた岐阜。2nd Stringsは小さな会場だけど、スタッフのみなさんがすごく温かく迎えてくれて、しっかりライヴをフォローしてくれた。
Aloma Black'sのMercyとの、アコースティックギター2本でのライヴは2度目だったが、新しいグルーブが生まれた。きっとこれから、もっともっといいサウンドになっていくだろう。
岐阜ライヴのサブテーマ、「“鶏ちゃん”を食う」は、岐阜ではかなわなかったが、翌日の名古屋ライヴの打ち上げで、全員が初体験で食べた。うまかったなあ。
去年、結成したばかりのAloma Black'sで、名古屋と大阪に行った。
あれから1年。腕を磨いて見違えるようになったバンドに、サックスのSMILEYを加えたベストメンバーでのライヴが実現した。
ライヴはスタートからフルスロットル。27歳の若さが、曲に新しい風を吹き込んだ。
それだけじゃなく、僕のピアノと一緒にプレイした〈Rock'n Roll's Over〉や〈Yellow Center Line〉では、SMILEYが当時と変わらないサックスを披露した。
僕はこのバンドを本当に自慢に思っている。もっともっとたくさんの人たちに、今のサウンドを聴いてほしい。
オフィシャルファンコミュニティーONEでは、ツアーの模様を、写真とライヴ映像で特集する予定だ。
さて、次は札幌でのスリーデイズだ。
まったくの生の声と音だけで歌を届ける〈Naked“eyes”〉。Aloma Black's + SMILEYでのバンドライヴ。そしてMercyとSMILEYでの3人のライヴ。
曲は、3日間ほとんとかぶらないセットリストでやろうと思っている。
それぞれ違った空気感でのライヴになるだろう。
すごく楽しみだ!
あ、そうそう、札幌のパン屋さんやコンビニには、ちくわパンっていうのがあるんだって?
これは食ってみなきゃ。きっと、なまらうまいだろうな。
8/3
love,
卓治
dear #107
オフィシャルファンコミュニティーONEで3ヶ月に1度発行している〈eyes〉。今月末に発行する号で、Vol.20になる。
そこに毎回掲載している〈巻頭詩〉というコンテンツがある。書き下ろしの詩を僕がリーディングして、音楽を入れ、デザイナーが映像を重ねる。
完成したばかりの音声データを、デザイナーにメールで送ったところだ。
今日は僕の誕生日。52歳になった。
3日前にファンの人たちを招いて、バースデイイベントをやった。その時に話したんだが、52歳というのは、ひとつの通過点。歌い続けることを確かめるためにある、ひとつのポイントでしかない。
歌い始めた時、僕は短距離ランナーの気持ちだった。未来の展望など考えることもなく、ただ“今”を走り、“今”をむさぼり、“今”だけに生きた。
そして時を重ね、いつの間にか長距離ランナーになっていた。
いつから変わったのか、自分でも定かじゃない。以前、何かの雑誌に「今やベテランの小山」と書かれて「え? ウソ」と思った時は、まだ短距離を走っていたのかもしれないな。
長距離ランナーの気持ちに変わっても、やっぱり大切なのは“今”だ。ただ、以前に比べて“今”の重要さをよく知っている。以前よりもさらに強く、“今を生きる”ことを思う。
若い時は、失敗しても「次があるさ」と思った。今は違う。「失敗してる暇なんかないぞ」と思う。
1日を、1本のライヴを、すごく大切にしたいと思っている。
先日、鳥取県の米子で、織田哲郎君とジョイントライヴをやった。織田君とはライヴの前に少し話したことがあるだけで、一緒に音楽をやるのは当日が初めてだった。
それぞれのステージの後、最後にやったセッションでは、何かが深く交感されたように感じた。ライヴハウスを埋め尽くしたお客さんにも、それが伝わったはずだ。
大きな手応えがあった。
そしてライヴは続く。
〈唄旅シリーズ〉で、名古屋、金沢、福井へ行く。金沢は21年ぶり、福井は初めてだ。
きっと、新しい発見や、新しい出会いがあるはずだ。
9/16
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卓治
dear #108
夏のツアーも一段落。秋がやって来た。
この季節は好きだ。「今日は仕事はしない」って決めた日は、クロスバイクに乗って、ちょっと遠出する。お祭りに出くわしたり、いつもは通らない道でお洒落な店を発見したりする。
「今日は部屋で仕事」の日は、起きたらまずパソコンを立ち上げる。最近新しいパソコンを入手して、部屋の模様替えをしたところだ。2台のモニターを並べ、その両脇にスピーカー。新しいパソコンでは音楽や映像の作業、前のパソコンではテキスト関係やメール。
昨日は1日中ヘッドホンをかぶって音資料を聴いていた。もうすぐ、新たなミックス作業のためにスタジオに入ることになっている。
そして、たまに1人でリハーサルスタジオに入って歌い、週に1回はAloma Black'sとリハーサルをやる。
来週の土曜は、センチメンタル・シティ・ロマンスの中野督夫さんのバンド、ダリ督夫 & Almond Eyesと、Aloma Black'sでの共演ライヴがある。
中野督夫さんとは、もう古い付き合いになった。アコースティックなライヴを2人でやったことは何度もあるが、それぞれのバンドでのジョイントは初めてだ。督夫さんとメールのやりとりをして、アンコールセッションの曲を決めているところだ。今からワクワクしている。きっと楽しい夜になるだろう。
他にも、まだ発表前の新しいプロジェクトが進み始めている。今年いっぱいはこんな感じで日々が過ぎていくんだろうな。
そしてもう、来年のライヴの話も出始めている。
2009年は、年間で数えて、今までで一番多くライヴをやることになりそうだ。来年は、さらにそれを越えるライヴをやろうと思っている。
僕の中に白地図があって、ライヴで行った県をひとつずつ塗りつぶしている。今年は岐阜と福井を塗れた。でもまだまだ白いままの県がいくつもある。
まずは全部を塗ってしまわなきゃ。
10/15
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卓治
dear #109
今週末、いよいよ〈唄旅 東北編〉で仙台と盛岡へ行く。
仙台は2006年に〈唄旅〉で行って以来。盛岡は何と初めて。岩手県に入るのさえ初めてだ。
今回は、お馴染みの鎌田ひろゆきと、盛岡出身の高橋研さんとの3人旅。このスリーショットでの旅も初めてだな。なんだか、すごくワクワクしてる。
2006年、ひさしぶりに仙台に行った時は、小さなライヴハウスが満杯になった。昔から聴いてくれてる熱狂的なファンの人たちの熱い歌声が、今もはっきり耳に残ってる。「また来るよ」と言った約束を、3年ぶりに果たすことができる。
盛岡は、どんな感じなんだろうな。実は今日、高橋研さんと鎌田ひろゆきと3人でセッションする曲のリハーサルをやることになってるから、研さんに聞いてみようと思ってる。
岩手は、僕の大好きな詩人、宮澤賢治の故郷。花巻と盛岡はちょっと離れてるけど、風や空の色から、何か感じることができるかな。
〈唄旅〉は、シンガーだけで動く、いわゆるノー・マネージャー・ツアー。別名、アーティストほったらかしツアー。
ギターやCDを抱えて新幹線やバスのチケットを買って乗り、ライヴをやった後は自分たちでCDを販売する。
普段、自分のソロツアーでは歌うことだけに集中してるけど、この旅はそうはいかない。
そんな旅で、お荷物になるのが、僕。頼もしい存在になるのが。鎌田。
「かまたぁ、明日は何時に集合?」「かまたぁ、持ち時間はどのくらい?」「かまたぁ、CDはどこに並べんの?」
鎌田もいい加減切れ気味なんだが、なんとか旅は続いてる。
そこへ初登場の高橋研さん。多分、というか間違いなく、旅に出ると僕以上に使えない男だ。今度の〈唄旅〉は、僕と研さん2人して「かまたぁ」を連発するんだろうな。
11/11
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卓治
dear #110
ここのところ、ずっとスタジオに入って作業をしていた。今までとは違うサウンドに仕上げたくて、ずいぶん時間をかけ、ついに完成。もうすぐ告知するからね。
イベントへの参加や、〈唄旅〉でのライヴが続いていた。来週はひさしぶりにソロライヴで広島と熊本の多良木へ行く。
広島は2年前に〈唄旅〉の3人で行って以来だ。
ソロでや行った88年のこと。アンコールがやまずに、何度も出て行って歌った。さすがにもう来ないだろうと楽屋に戻って着替え、ステージもスタッフが撤収を始めた。それでもアンコールが収まらず、僕は普段着でステージに戻り、何もないステージでギターを生で弾いて、生の声で歌った。客席からの歌声が大きく熱かったのを、今もはっきり憶えている。
その次に行った93年のライヴも、4回のアンコールを受けた。
あれから16年たった。今回はソロだから、たっぷり歌うよ。
熊本は、この夏にバンドライヴをやったが、多良木町で歌うのは、もちろん初めてだ。場所は多良木町 交流館 石倉。昭和10年くらいに米倉庫として作られ、今は多目的ホールとして使われている。最近、有形文化財に指定されたそうだ。
石を積み重ねて作られた場所で、歌やギターがどんな風に響くのか、すごく楽しみだ。いつものライヴとはまったく違う雰囲気になるだろう。何を歌おうかな。
多良木町にほど近い人吉出身の、犬童球渓という詩人がいる。アメリカ人のジョン・P・オードウェイが作った〈Dreaming of home and mother〉に訳詞をつけた。それが〈旅愁〉だ。
更け行く秋の夜 旅の空の
「あ、知ってる」って感じだよね。以前、ライヴで一度だけカバーしたことがある。唱歌のようにシンプルなメロディだけど、歌詞は意外に切ない。カバーするために改めて詞を読んだ時、2番の歌詞にぶっ飛んだ。
窓うつ嵐に 夢も破れ
はるけき彼方に 心迷う
ほのかに故郷を想う歌だと思っていたが、実は旅先で途方にくれてる歌だったんだと思った。
多良木の人たちにも、この歌はお馴染みなのかな。もう一度歌ってみよう。
11/30
love,
卓治
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