iNG! はじまりから、かわらない 02.19.2010


 新しいアルバム《iNG! RED盤》《iNG! BLACK盤》をリリースした。
 2009/2/14 名古屋、3/7 大阪で歌った各30曲と、3/28 東京で歌った37曲、全97曲のライヴテイクから38曲をセレクトして編集したものだ。
 ライヴアルバムというより、1曲1曲をじっくりと聴いて欲しかったから、お客さんの歌声や拍手はほとんど入っていない。スタジオライヴに近い内容になっている。
 収録は、アルバムのリリース順、アルバムの曲順通りに並べた。デビューアルバム《NG!》の〈1 WEST 72 STREET NYNY 10023〉から、一番新しいアルバム《Circle Game》の〈天国のドアノブ〉までの38曲だ。

 サックスが5曲入る以外は、すべてアコースティックギターとピアノでの弾き語りのテイクだ。
 デビュー以来、様々なサウンドのはやりすたりがあり、僕も時代の音を取り入れながらレコーディングしてきたが、ここでは歌を裸にして歌っている。
 1人のライヴでは、アルバムアレンジとはアプローチを変えて歌うことがある。ピアノアレンジの歌をギターでプレイしたり、ロックンロールをバラードにしたり、テンポを変えて歌ったテイクなども収録している。
 ソロライヴなのに、よくよく聴くと実際には入っていないはずの音が聞こえてくるような、密かな仕掛けもある。探してみて。

 レコーディング、ミックス、マスタリングを担当したのは、2000年からタッグを組み、今では僕のレコーディング現場には欠かせない存在になったMas ANAI氏。

 近年のレコーディングは、ハードディスクレコーディングといって、パソコンに直接音をデータとして入れ、パソコン上でミックス、マスタリングまでやってしまう。アナログテープやアナログ機材は、世界中のレコーディングスタジオから消えつつある。
 そんな中、今回は新しいチャレンジをした。パソコンでミックスした音を、アナログテープにダビングし、さらにそれをパソコンに戻して最終調整するという行程で音を作り上げた。
 96Khz、24bitの世界最高水準のスタジオでこんなやり方をしたのは、僕たちが初めてなんじゃないかな。
 その音の違いは明らかだ。音の輪郭がくっきりとし、奥行きが出て、まるで目の前で歌っているかのようなリアルな質感、存在感が生まれた。フルデジタルでは作れない音だ。
 例えば、デジカメで撮影した写真を、モニター上でどんどん拡大していくと、輪郭の線がカクカクになっていく。フィルムで撮影した写真はそうはならない。それを音楽に当てはめれば、デジタルとアナログの違いが分かりやすいかもしれない。

 さらに今回は、2008年に初期のアルバムをデジタルリマスタリングした時に使用した、世界最古のパラメトリックイコライザー、ITIも使用した。
 つまり、デジタルを駆使しながら、限りなくアナログの音を追求したサウンドに仕上げた。きっと気に入ってくれると思う。

 アルバムタイトルの《iNG!》は、“i” + “NG!”。《NG!》からスタートして27年目の、現在進行形の“i”を表現した。

 時代がどんなに移り変わっても、歌は変わらない。

 はじまりから、かわらない。
 そして、これからも、かわらない。


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