OFFからONへ 09.29.2004


 デビューした1983年、ファンの女の子たちが集まって「OYAMA TIMES」というミニコミ誌を作り、僕のところへ届けてくれるようになった。手書きの文字に、雑誌から切り取った写真がコピーされ、ホッチキスでとめた、まさに手作りだった。ファンならではの熱い気持ちと、同時に活動をクールに見守る視点が好きで、僕は彼女らのミニコミ誌を楽しみに読むようになった。
 翌年だったか、「OYAMA TIMES」はオフィシャルとして定期的に刊行されるようになった。彼女らの何人かはスタッフとして働くことになり、5年ほど続いた。
 その頃はまだファンクラブという形態ではなく、一種のコミュニティとしての存在だった。

 89年、正式なオフィシャルファンクラブとして、OFF (Oyama Foundation Fun Club)がスタートした。新たなスタッフが採用され、今に至る15年間、その活動は続いている。年に4回の会報の中では、毎回エッセイや小説などを書き、ファンと直接会って話す「突撃インタビュー」やツアーレポートなどが紙面をにぎわせた。ファンから手紙やイラスト、リクエストなどが届き、僕にとってファンとのホットラインになった。そこで生まれたコミュニケーションが、僕に活動の方向を再考させたり、新曲のモチーフになったりした。
 《ROCKS!》の〈君が本当に欲しいもの〉にコーラスで参加してもらったのも、ファンクラブのメンバーだ。

 1999年、新たな活動の場として「RED & BLACK」がスタートした。ネット上での表現は、手に取って紙の匂いを感じながら読む会報とはまるで違うものだったが、アーカイブ的な要素とスピーディーな情報公開を同時に発信することができるフットワークは、僕にとってすごく魅力的なアイテムになった。
 それから5年、インターネットの世界は爆発的に飛躍し、情報伝達のあり方そのものが進化した。そんな中、ファンクラブOFFはどうあるべきなのか、紙媒体としての会報にできることとネット上で広がり続けている可能性をどう見極めるべきなのか、スタッフと何度も話し合ってきた。
 インターネットの可能性は無限に広がるだろう。ほんの数年前までは考えられなかったことが、今では日常になっている。これからもっともっと面白くなっていくはずだ。僕たちは今まで以上にネットで強くつながることができる。僕はそう確信した。
 OFFは、ネットの世界に、ONE (Oyama Takuji Network Eyes)として生まれ変わることになった。

 今年の8月、ONEプレビューサイトがオープンした。12月のグランドオープンに向け、ここではたくさんのコンテンツを体験できるようにしている。
 インターネット中継は、これまでに2度、イベント会場と僕の仕事場から配信した。イベントの音声は、すでに聴けるようにしているし、仕事場からの映像は近々アップする。
 ウェブラジオは、年内にVol.2を配信する予定だ。これまでラジオのDJをやったことは1度しかないが、あまり形式ばらず、日常のおしゃべりという感じで続けていこうと思っている。
 ライヴドキュメントはこれまでも会報でやってきたが、ONEでは写真や音声や映像もたっぷり出していきたい。
 レアサウンド+ビジョンは、今まで1度も外に出したことのないライヴテイクやライヴ映像を出していく。The ConxやDADとの懐かしい競演がよみがえる。
 それから、これは初めての試みになるんだが、物語と、ウェブならではの表現方法をドッキングさせた、書き下ろし小説の連載を始める。言葉とビジュアルとサウンドがリンクし、溶けあい、高め合っていく表現を模索中だ。
 そして11月から、Naked Voiceというタイトルで僕のダイアリーを掲載していく。日記というよりは、日々の暮らしの中から染み出してきた言葉、音楽の生まれる瞬間やプロセスの興奮、舞台裏の雑感などを、僕の撮り下ろしの写真と共に書き記していく。
 他にも、まだまだたくさんのコンテンツを準備中だし、プレゼントやサプライズも用意している。
 みんなのリクエストや質問や気持ちを僕に伝えるシステム、ONEを友人に紹介するプログラムなども、どんどん活用してほしい。

 今年の後半から、曲作りやライヴと同時進行で、これらのコンテンツの制作に入った。作業に入ってから、僕は本当に毎日ワクワクしている。
 新しいことを始める時は、いつも最初は手探りだ。スタッフと一緒に、「こんなことできないかな」「こんな方法もあるよね」「こんなことしちゃったりして」なんて話したり、毎日のようにメールをやり取りしながら少しずつ見えてきたONEの輪郭は、思っていた以上にフレッシュで、フットワークに満ちたものになってきた。
 これまでのファンクラブを越えた、開かれたコミュニケーションの発信の場であり受信の場としてのONEを、みんなの想いに十分に答えられる素敵なものに作り上げていこうと思っている。

 ここから何かが始まる。僕は今そんな予感に満ちている。それは音楽のコミュニケーションによく似ている。僕の中から生まれ、1人1人に手渡してきたものが、少しずつ違う形となって僕の元へ戻ってくる。それが次の何かを生みだすきっかけになる。そうやって音楽は心と心をつなぐ。
 新しい物語の序章が描かれた。次の章を描くのは君と一緒だ。すごく楽しみだ!


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