6月20日のBBSへの書き込みに、J50さんからのこんなメッセージがあった。
「〈NO GOOD!〉の歌詞に「自閉症患者ウォークマン」とありますが、自閉症について誤ったとらえかたをしているとしか思えません。どうぞ、自閉症についての認識をお答えください」
ちょうどその頃、RED & BLACKのサーバー移転に関する作業や、新しいBBSの制作のために忙しかったことと、BBSのほんの数行でそれについて話す自信もなかったため、まだ答えていなかった。改めてここで書いてみようと思う。
〈NO GOOD!〉を作ったのは、デビュー前、僕が25歳の時だ。若さが持つ無謀さと、デビューに向けての高揚感の中で一気に書き上げた。
セカンドシングル候補としてこの歌は上がったのだが、「浮浪者」「乞食」そして「自閉症患者」が規制の対象となり、この歌はシングルのB面に収録され、ついでに放送禁止になった。
ちなみに1度だけNHKのテレビで流れたことがあったっけ。オールナイトのイベントの中継で、当時僕はテレビを持っていなくて、電気屋の店頭で見ていた憶えがある。〈カーニバル〉1曲だけだと思っていたのに、次に〈NO GOOD!〉が始まった時にはびっくりした。
デビュー後何年も、ライヴ本編のラストで歌い、こぶしを振り上げる定番曲となっていく中、この歌はいつの間にかお気楽な雰囲気で歌われるようになっていった。
しかし歌を作った時、この歌の持つ刃は自分に向けられていた。
「ここでは“俺は”ウォークマン 自閉症患者ウォークマン」
まずは自分を叩きのめし、そこから陽気にタフにはい上がる歌にしようと思っていた。ただその段階で、「自閉症患者」と歌詞にすることに対して、まったく無自覚だった。
当時の僕は、歌詞に関して「何でもあり」だと思っていた。何を表現してもいいし、何を歌ってもいい、その自由さこそが音楽だと思っていた。
いつ頃からだっただろう。自分を、そして人を勇気づけるはずの音楽が、もろ刃だということに気づいたのは。
1987年にリリースした〈Passing(いつか河を越えて)〉のことについては、このVoiceの「いつか河を越えて 09.07.1999」に書いたから、それを読んでほしい。
自由とは、何をしてもいいということじゃない。今僕はそのことを常に考えながら歌を作っている。そして自分が落とし前をつけられる限り、極限まで自由を求める。
最後になってしまったけれど、〈NO GOOD!〉を聴いて傷ついてしまった人たちへ、僕は謝罪し続けます。
そして、この歌が求められている限り、僕は歌い続けます。 |